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一人旅ものろーぐ3.5

美咲は大学の構内を歩いていると、ふと後ろから声をかけられた。

「美咲!」

振り向くと、そこには友人の真理子が立っていた。

「真理子!久しぶりだね」と美咲は笑顔で返した。

「そうそう、最近は忙しくてなかなか学校でも会えなかったけど、今日は時間ができたから顔を見せに来たの。どう?最近はどんなことしてるの?」

と真理子は尋ねた。

「最近は特に何もしてないよ。ただ授業とアルバイトと家で勉強してるだけ」

と肩をすくめて答えた。

「そんなに忙しいの?でも、そんなに頑張ってる美咲を見習って私も頑張ろうと思って、今日は久しぶりに学校に来たの」

と真理子は笑った。

美咲は少し照れくさそうに笑って、真理子と共に教室に入っていった。

授業の教室に入ると、先生がすでに黒板に大きな文字を書いていた。

『複数回線形回帰モデル』と書かれている。美咲はこの複雑な専門用語に戸惑いを覚えた。
先生は彼女たちが戸惑っていることを察していたのか、説明を始めた。

「今日は複数回線形回帰モデルについて学びます。これは複数の説明変数を使って目的変数を予測する方法の一つです。」

美咲は少しずつ理解を深めていくが、まだまだ難しい専門用語が飛び交っている中、授業は進んでいく。終盤になって先生が質問をしてきた。

「では、複数回線形回帰モデルの利点は何でしょうか?」

美咲は少し迷ったが、自信を持って手を挙げた。

「先生、複数の説明変数を使うことで、単回帰分析よりもより精度の高い予測ができることですね。」

先生は微笑みながら、美咲の答えを褒めた。

「その通りです。素晴らしい解答ですね。」

美咲は嬉しそうに微笑んだ。
真理子は隣にいた美咲に微笑みかけ、

「すごいわね、美咲。私なんて全然わからなかったわ」

と言った。
美咲は少し照れくさそうにしながらも、うれしそうに笑っていた。

美咲と真理子は学校内のカフェテリアに向かった。カウンターで飲み物を注文し、テーブルに向かって座った。
真理子が口を開いた。

「それで最近、美咲はどうしてるの?」

と真理子が聞いた。

「元気だよ。この前、北海道に行ってきたんだ」

と答えた。

「札幌と小樽を観光したんだけど、小樽ですごい体験をしたの」

真理子は興味津々の様子で美咲を見つめた。

「星降る丘ってところに行ったんだけど、そこで不思議な感覚に襲われたの。意識が遠のくような感じで、視界もぼやけたんだ。まるで夢の中にいるみたいだったんだ」

真理子は驚いたように

「へえ、それは不思議だね。どうしてそんなことが起こったのかな?」

と尋ねた。

「なんでかわからないけど、札幌でおばあさんが、星降る丘へ行ってみてって言われたの。運命の出会いや願いが叶う場所って言っていたから、きっと、その体験が何か意味を持っているんだと思う」

「それじゃ、これから美咲の願いが叶うかもしれないね。」

「そうなったら、うれしいな。それで、小樽へ行く途中で出会った女性から教えてもらった『星の記憶』っていう本を古本屋で見つけたの。その人はその本を読んで人生が変わったんだって。」
真理子は興味津々の様子で

「へえ、すごいね。私もその本読んでみたい」

「これが『星の記憶』っていう本なんだよ」

と、美咲は真理子に手渡した。
真理子は手元の本を開いてページをめくった。

「すごい綺麗で可愛い絵と詩だね。どこで手に入れたの?」

と尋ねた。

「小樽の古本屋で見つけたんだ。星降る丘であの感覚を味わった後、この本が気になって探し回ったんだよ」

と、美咲は思い出を語り始めた。
真理子は興味深そうに聞いていた。

「星降る丘って、どんなところだったの?」

美咲は、小樽の星降る丘の景色を口に出しながら、その場面を再現していた。

「いま思い出しても、あのときの感覚は本当に不思議だったんだよ。自分が夢の中にいるような感覚に襲われたんだ。でも、その不思議な感覚がたまらなくて、あの場所にもう一度行ってみたくなってしまったんだ」

真理子は、美咲の話を真剣に聞きながら、ぼんやりとした表情で考え込んでいた。
そして改めて興味津々で本を手に取り、表紙を見た。

「星の記憶か……なんだか不思議なタイトルだね」

と真理子が言った。

「そうなんだ。この本を読んだとき、私も不思議な気持ちになったんだ。」

と美咲が説明した。
真理子は興味津々でページをめくり始めた。

「あ、これって、星降る丘のことじゃない」

と真理子が小さな声でつぶやいた。
真理子が開いたページには、星降る丘の絵とともに、不思議な言葉が書かれていた。

「『星の記憶』とは、私たちが生まれる前の世界の記憶のことであり、星々が持っている知識と意識のエネルギーが宇宙に保存されているものである」

真理子は驚いた表情を浮かべた。

「すごい……。この本、私も読んでみたい」

と真理子が言った。

「ぜひ読んでみて。不思議な気持ちになるかもしれないけど、きっと新しい発見があると思うよ」

と美咲が言った。
二人は本の中身に夢中になり、カフェテリアでの会話は、星の記憶についての話題で盛り上がっていった。

美咲は時計を見て、

「ああ、もうアルバイトに行かなきゃ。」

真理子は微笑みながら、

「そうだね、私も用事があるから帰るわ。また近いうちに会おうね。」

「っていうか、ちゃんと学校にこないとダメだよ」

美咲は笑顔で返事をして、カフェテリアを出た。

彼女はアルバイト先に向かう途中で、「星の記憶」という本を手に取り、小樽での思い出を振り返っていた。
美咲が向かうバイト先は「La Petite Patisserie」というフレンチカフェ。
店内に入ると、フランス語が飾られたメニューや可愛らしい雑貨たちが並んでいる。
甘い香りが漂い、今日もオープンキッチンで焼き上げられたパンや華やかなケーキが並べられている。

さぁ、着替えていざバイト開始だ。
接客やオーダー取り、料理の盛り付けなどを担当し、店内は美咲が働くことで一層活気づいている。

忙しい時間帯もあり、疲れた時もあったが、美咲は「お客様に喜んでいただけることが嬉しい」という気持ちで働いていた。
そして、帰り際には店長から「また明日から頑張ってね」と励まされ、充実感を抱きながら帰路につくのが日常だった。

「美咲よ、お前はまだ知らない世界の可能性を秘めている。冒険はまだ終わりではない。明日への道は未だ開かれている。」
「自分の心に従って、新たな冒険を追い求めよ。未知の風景や出会いがお前を待っている。信じて進め、美咲よ。」

美咲は、北海道の夜、夢の中で聞いた声を思い出しながら、自分自身に問いかけていた。

「私にはどんな可能性があるのだろう?」

そんなことを考えているうちに、美咲は今までの自分の人生について、改めて振り返っていた。

今まで何度か一人旅をして、それぞれの旅で新たな発見や体験をしてきた。
しかし、その度に自分自身に問いかけたことがあった。
「これでいいのか?」「これで本当に幸せなのか?」と。
そして、今までの旅で自分がこれまで自分に正直に生きてきていなかったことに、すでに気付いていた。

「でも、これからは違う。もっと自分に正直に、自分の思いに素直に生きていこう。」

美咲は改めてそう決意し、次の旅に向けて準備を始めることにした。
それは、今までの旅とはまったく異なるものとなる予感がしている。
そして、その決意を胸に、次の一人旅に向けて準備を進めていくのだった。

美咲は朝食を食べながら、行きたい場所を考えていた。
北海道での夢の影響もあってか、彼女は今までとは違った方向性の冒険をしたいと思っていた。

「もう、いつもの観光地だけじゃなくて、もっと自分の好きな場所に行ってみたいな」

と美咲は自分に言い聞かせた。
その時、テレビで旅番組が流れていた。美咲は目を奪われながら、ふと口を開いた。

「あ、ここに行ってみたいな・・・」

美咲は学校に行き、真理子に会った。

「真理子、今日もちゃんと学校に来たね!」

「そりゃね。最近出席日数がやばくなってきたし」

真理子は、自嘲気味に笑った。
美咲は、今朝テレビを見ていて思いついたことを話してみた。

「台湾か韓国に行ってみようと思ってるんだ」

真理子は美咲が旅行に行くだろうことを知っていたので、興味津々で話を聞いた。

「また突然だけど、それはいいね!」

と真理子は笑いながら聞いた。

「定番の観光地だと思うけど、初めての海外旅行だから、無理のない程度に行くのが良いと思うわ。どちらか決めたの?」

「まだ決めてないけど、どちらも行ってみたいと思ってる。台湾は食べ物が美味しいって聞いたし、韓国は文化が興味深そうだからね」

と美咲は答えた。

「どちらも魅力的ね。でも、短期間だと両方は行かれないから、どちらか一つに絞った方がいいと思うわ」

美咲は真理子の言葉に納得し、しばらく考え込んだ後に、

「じゃあ、台湾にしようかな」

と決めた。

「いいわね、台湾に行くなら私が行ったことのある場所やオススメのお店を教えてあげるわ」

と真理子は嬉しそうに言った。
美咲は心強く思いながら、

「ありがとう、本当に助かるわ」

と言った。

美咲はスマートフォンを手に取り、さちにメッセージを送った。

「さちさん、こんにちは!最近忙しそうだけど、元気?実はね、私は初の海外一人旅に台湾に行ってみようかと思ってるんだ。」

しばらくして、さちからの返信が届いた。

「美咲ちゃん、一人旅に台湾へ行くんだ!すごいね!私は今、お客様の予約で忙しくて無理だけど、応援するわ。写真とか送ってね!」

と、嬉しそうな返信が帰ってきた。

美咲は、さちの返信を見て嬉しくなった。
初めての海外旅行で、不安もあったが、友達の応援で心強くなった。

そうして、初の海外一人旅の準備を始めた。

美咲はアルバイト先の「La Petite Patisserie」で、毎日授業の後一生懸命働いていた。
しかし、彼女の心は初の海外旅行への興奮でいっぱいで、仕事に集中することが難しくなっていた。

その日も、台湾に行くことを思い浮かべながら、注文を受けてスイーツの準備をしていた。
でも、いつもとは違って、手元が落ち着かない。焦って作業をしていると、シェフが彼女に声をかけた。

「美咲、大丈夫?何か気になることでもあるのかい?」

「あ、いいえ。ただ、今日は何だかワクワクしているんです。」

「そうか、旅行のことか?楽しみだね。でも、仕事には集中しよう。お客様が待っているんだ。」

シェフの言葉に美咲は頷き、再び仕事に取りかかった。
彼女は心を落ち着かせるように努め、仕事に全力で取り組んだ。
しかし、どんなに忙しくても、心の中で台湾の風景を想像することは止められなかった。

美咲は初の海外旅行に向けて、毎日ワクワクしていた。
学校やアルバイトの合間に、旅行の計画を練ったり、観光地の情報を調べたりしていた。

特に、台湾の夜市や食べ物については興味津々だった。
美咲は食べ物好きで、地元のグルメも探究心旺盛だったが、今回は台湾でしか食べられない美味しいものをたくさん食べたいと思っていた。

また、台湾の自然や歴史にも興味があった。美咲は普段から自然に触れることが好きで、台湾の美しい風景に出会えることを楽しみにしていた。
台湾には多様な文化や歴史があり、それを学ぶこともできると思うと、ますますワクワクしていた。

そして初めての海外旅行で多くのことを学び、新しい経験を積んで成長したいと強く思っていた。
そんな彼女の想いは、バイト先の仲間たちにも伝わっていた。

まず初の海外旅行のために日程を決めることにした。
考えた末、出発までに二か月の余裕を持つことにした。
これは美咲が十分な準備期間を取り、旅行を心から楽しむための大切な決断だった。

二か月後の日程を確定するために、美咲はカレンダーを見ながら考え込んだ。
アルバイトや学校のスケジュール、他の予定との調整を行いながら、最適な出発日と帰国日を選び出す必要があった。
そして、さまざまな要素を考慮しながら、とりあえずの日程を確定した。

日程が決まり、旅行への期待が高まる中、美咲は今から旅行の準備や計画を進めることにワクワクしていた。
初の海外旅行への興奮が日々募り、時間が経つのを待ち遠しく感じる美咲の心は、新たな冒険の一歩を踏み出す準備に満ちていったのだった。

美咲は、台湾旅行に向けて、様々な情報収集をしていた。
インターネット上のサイトや、旅行ガイドブックなどを見ながら、日程を組み立てていった。

まずは、台北市内にある観光スポットを調べた。
台北101や国立故宮博物院、士林夜市などが有名だと知り、それぞれの場所のアクセス方法や入場料金を調べた。

台湾の他の都市にも足を運んでみたいと考えた美咲は、高雄市と台南市を訪れたいと思い調べてみた。
高雄市では、龍虎塔や愛河、旗津島などが見どころだと知り、台南市では、安平古堡や台南花園夜市などがあることを知った。

そして、飛行機の航空券やホテルの手配も自分ですることに決めた。
航空券は、ネットで比較して安いものを探し、ホテルは、立地条件や価格帯などを考慮して選んだ。

「あれも行きたいな、これも行きたいな…」

と美咲は独り言をつぶやきながら、調べていた。しばらくすると、美咲は思い切って決断した。

「これでいいや。飛行機の航空券はこの日に取ることにする。」

と自分に言い聞かせた。
美咲は、少しずつでも自分で計画を進めていくことに、ワクワクとドキドキを感じていた。

初めての海外旅行に不安を感じることもあったが、自分で準備をすることで、より充実した旅行ができると考え、しっかりと準備を進めていった。

航空券の手配に没頭している最中、一つ大きな問題に気付いた。
パスポートを持っていなかったのだ。

「えっ、パスポートがないなんて、どうして気付かなかったんだろう?」

と美咲は自分を責める。
焦った美咲はすぐにパスポートの取得手続きに取りかかることを決めた。
インターネットで手続きの方法を調べ、必要な書類や手続きの流れを確認した。

「早く手続きを進めないと、予定通りに行けないわ!」

と美咲は自分に言い聞かせながら、必要な書類を揃えるために翌日パスポートセンターへ向かった。
手続きは思ったよりもスムーズに進み、数日後にはパスポートが発行されることになった。

「よし、これで大丈夫だ!」

とほっと胸をなでおろす。
初めての海外旅行に向けて、パスポートを手に入れるための手続きを完了させ、旅の準備を再開したのだった。

美咲は、小樽で購入した「星の記憶」という本を手に取った。
手触りの良い表紙には、星座が美しく描かれていた。中を開いてみると、ふんわりとした紙の上に美しいイラストと詩が書かれていた。

「ああ、これは本当に素晴らしい。」

と美咲はつぶやいた。
北海道旅行から帰ってきてから、何度もこの本を手に取って読み返していた。

ページをめくりながら、美咲は一つ一つの詩や文章を読んでいく。
「星の記憶」というタイトルから、どうしても星にまつわるものを想像していたが、これは違う。

例えば、ある詩には「自分が変わることで、周りの世界も変わる」と書かれている。
別のページでは、「自分の人生を歩むことは、自分で選ぶことであり、その選択は未来を形作る」と書かれていた。

美咲は、この本が心に響いていた。
自分の人生を自分で選ぶこと、変わることが周りの世界も変えることに、深く共感を覚えた。
星というテーマが、人生の方向性や人間のあり方を考えるためのきっかけになったのかもしれない。

そして台湾での旅行を通じて、新しい発見や出会いがあることを期待しながら、自分自身も成長していくことを目指していた。
星の記憶の言葉を胸に、今後の人生に向けて、自分自身の選択を大切にしていこうと決めた。

出発の一週間前に、ひどく疲れた一日の夜に布団に横たわっていた。
その時、美咲は不思議な夢を見た。

夢の中で、美咲は自分が星の中を旅しているような感覚を覚えた。
星座の一つ一つが、美咲の人生の中で経験した出来事や感情のように見えた。
美咲は、夢の中で、星々が織りなす美しい光景を眺めながら、自分の人生について考えていた。
すると夢の中で星々が語りかけるように感じ、自分自身に向けて「勇気を持って未知の世界に踏み出そう」という言葉を耳にした。
その夢を見た後、美咲は何か新しいことに挑戦する勇気を持って、台湾への旅行を迎えることを決意していた。

目を覚まし、夢を見たことを思い出していた。
その夢がなんだったのか、ぼんやりと思いをめぐらせながら、しばらく考えた。

「あの夢、何だったんだろう?」

美咲は自分自身に問いかけてみた。
夢の内容はよく覚えていなかったけれど、不思議な感覚が残っている。

「まあ、そんなことよりも、もうすぐ台湾だ!」

思い切り笑って、再び台湾旅行のことを考え始めていた。
楽しみな気持ちでいっぱいになり、準備を進めることにした。

台湾旅行の前に提出しなければならない大学のレポートがあったため、忙しく過ごしていた。
アルバイトもたくさん入っており、時間が足りないほどだった。

「もう少し余裕がほしいな」

そんなことを思いながら、レポートに集中していた。夜遅くまで書き続け、やっとのことでレポートを仕上げた。

「これで最後。あとは旅行を楽しむだけだ」

と、ほっと息をついた。

美咲が忙しくレポートを仕上げている間、真理子は自分のアルバイトに追われていた。
彼女はファッションブランドの店員として働いており、その日は新商品の陳列作業に追われていた。

真理子はいつものように笑顔で接客をこなしながら、一方で陳列作業を頑張っていた。
新商品はとても可愛くて、彼女自身も欲しいと思っていた。でも、アルバイト代では手が届かないと思っていた。

そんな中、美咲からのメッセージを受け取った真理子は、喜びとともに羨ましさを感じた。
自分も旅行に行きたかったけれど、休みもとれないという状況だった。
ただ、美咲のことが心配でもあった。初めての海外旅行だし、危険もあるかもしれない。
真理子は美咲に気をつけるようにメッセージを返した。

美咲は、真理子からのメッセージを受け取ってとてもうれしかった。
初めての海外旅行で、不安な気持ちもあったが、親友からのエールが励みになった。

美咲は、しばらくの間、メッセージに返信をし、台湾での予定を共有した。
真理子も、自分が知っている情報を美咲に伝え、彼女をサポートしてくれた。

美咲は、友達がいてくれることに感謝し、出発に向けて準備を進めたのだった。